情報化による全自動的な資本主義社会のなかで、制度により規制された私たち現代人の身体と愛の在り方を静謐に表した映像作品です。作者の古橋悌二は、京都を拠点として1984年に結成されたアーティスト集団「ダムタイプ」の中心メンバーとして活躍し、1995年にHIV感染のため他界しました。
≪LOVERS≫は1994年に発表された後、幾度かの改訂を経ていますが、本作は、2001年のせんだいメディアテーク開館記念展に際してダムタイプの高谷史郎氏が再現制作したもので、当館の寄託作品となっています。現在、ニューヨーク近代美術館(MOMA)に収蔵されているもの以外では唯一展示可能な状態として残る作品です。なお、仙台で12年ぶりの公開となる今回は、2001年の際には省略された部分も再現し、オリジナルに近い仕様で公開します。
古橋悌二の書簡を収めた書籍『メモランダム』や、1994年に株式会社キヤノン アートラボにて初めて制作・展示された際の展覧会カタログのほか、古橋による1985年から1994年当時のダムタイプの音源などの閲覧・視聴ができます。
「性の凛」のプログラムとしておこなわれる11月15日の7階シアターでの上映会のほかに、6階会場でもダムタイプによるパフォーマンス作品「S/N」の上映をおこないます。このパフォーマンス作品は、≪LOVERS≫とほぼ同時期に制作され主題のうえでも密接な関わりをもった作品です。
*11月15日はシアターでの上映のため午前中のみ6階会場で上映します。
私たちの身体と服飾の関係を今日的な目線から再考します。気鋭のファッションブランドANREALAGE(アンリアレイジ)を率いる森永邦彦と、哲学者でメディアテーク館長の鷲田清一が、各々の活動や事例を紹介しながら、自己表現としての、または性の主張としての、あるいは社会への提起としてのファッションについて語り合います。
1980年生まれ。ファッションデザイナー。早稲田大学、バンタンデザイン研究所卒業。2003年に自身のブランドANREALAGE(アンリアレイジ)設立。ブランド名は日常(A REAL)、非日常(UN REAL)、時代(AGE)を組み合わせた造語。2005年、ニューヨークの新人デザイナーコンテスト「GEN ART 2005」でアバンギャルド大賞を受賞。2006年春夏東京コレクションにてデビューし、以降、東京コレクションにて発表を続ける。2011年、第29回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。2012年、個展「アンリアレイジ展 A REAL UN REAL AGE」(パルコミュージアム・東京)を開催。2013年、「フィロソフィカル・ファッション2 : A COLOR UN COLOR」(金沢21世紀美術館・石川)を開催。
1949年生まれ。哲学者。大谷大学教授、せんだいメディアテーク館長。京都大学文学部卒業、同大学院修了。大阪大学総長を経て、現職。これまで哲学の視点から、身体、他者、言葉、教育、アート、ケアなどを論じるとともに、さまざまな社会・文化批評をおこなってきた。主な著書に、『「聴く」ことの力――臨床哲学試論』(阪急コミュニケーションズ、桑原武夫学芸賞)、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(角川選書、読売文学賞)など多数。
マゼラン、火星の庭、ターンアラウンドによる出張古本市
本の文化やアートについて独自の活動をおこなう古書店やギャラリーの協力により「対話の可能性」をテーマとして選出された古書を閲覧することが出来る図書室です。書籍は購入することもできます。
(参加無料、申込不要、6階ギャラリー4200「考えるテーブル」にて)
震災以降の地域社会や表現活動について、対話しながら考えていく場です。
普段は7階スタジオに開かれていますが、本展期間中は6階ギャラリーで開催します。
11月10日(日)15:00~17:00
11月16日(土)15:00~17:00
11月20日(水)14:00~16:00
ジャン=リュック・ナンシー著「フクシマの後で 破局・技術・民主主義」
11月23日(土)17:00~19:00 *課題本持参のこと
12月6日(金)14:00~16:00
12月8日(日)14:00~16:00
12月15日(日)14:00~16:00
12月15日(日)18:15~19:45
12月22日(日)15:00~17:00
12月23日(月・祝)15:00~17:00