せんだいメディアテークが開館してから1年と数カ月が経ち、smt letterを読ませていただくと、1つの大きな空間の中でぶらぶらしている人がいたり、子供が走っていたり、建物がまるで公園のようにのびのびと使われているのが伝わってきます。せんだいメディアテークが開館した時にとても印象的だったのは、ギャラリーがオープンし、モニターが置かれて、棚の中身が入って、人々がいろいろな場所でいろいろなことをやりはじめたときに、建物が消えて人の多様な集まりだけが浮かび上がってきたように感じたことなのですが、その多様さは開館後も建物とともに育っていっているのだなと思います。
開館前に家具のデザインのお話をいただいたときは、せんだいメディアテークの2階で、人びとは、カウンターで相談するために待ったり、友人と待ち合わせしたり、あるいは雑誌を読んだり、調べものをしたりといった具合にさまざまな時間を過ごすだろうと考えました。そういったさまざまな過ごし方ができるよう50m×50mのフィールドに、家具を野原の中に広がる花畑のように並べてみたいと考え、三つ葉のようなフラワーチェアーを作りました。
フラワーチェアーは様々に組み合わすことができます。並べ方や組み合わせ方によって、1人用の椅子にも、平らな大きい椅子のようにも、向かい合って座るロビーチェアのようにも使えます。そうしたフレキシビリティーが、せんだいメディアテークを訪れる人によって最大限に生かされ、その時々でいろいろな風景が作り上げられれば本当にうれしいと思っています。