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せんだいメディアテーク
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美術を中心に話せば、仙台市が、市民ギャラリーをたたんで、そっちの方に拡大した(そう、そっちの方ね)ギャラリーを持つ「smt」っていうのを作ることになった、という話を聞いたとき、僕はすごくうれしかったんです。いやあ、これで、こっち(宮城県美術館)の仕事が少しはっきりするんじゃないか、と思ってね。

「美術館」って、絵が飾ってある(だけの)ところだと思っている人が多いようなんだけれど、実はたいそうな役割を持っているのね、本当は。なにしろ税金で運営してるんですから、ただ絵を飾っておけばいいと言うものではない。でね、普通「美術館」と言ったとき、それは「近代美術館」のことなのね。美術はみんなのモノだとか、各自好きなもの描いていいとか、私が見ているものを私が見たとおりに描くんだとか、いうようになったのがなにしろ近代なのだから、それはごくあたりまえのことなのだけれど、時代はすでにポストモダン、近代を過ぎたところまで来ている、ということになっているんでしょう? そして公共の美術館は、立っている(建っている、だけではなく)地域の美術にも、様々な深い責任がある、ということにもなっている。

誰がいつやろうと、美術はその時代の表現なのだから、これだけ揺れ動く、わけわかんない時代に、美術は、やたら揺れ動いた、わけわかんない表現を作り出してくる。いったいちまたにあふれる、この様々にわけわかんない表現の、どこんとこを取っとけば後々のためになるのか。このあたりは、普通の?美術館には、とても難しいことのようなのだ。人ごとのように言っていますが、私は教育担当学芸員なので、このへんは本当に人ごとに近い。でも同じ職場にいるので、ほんとの?学芸員のたいへんさもよくわかる。「現代」または「同時代」の表現をどのように扱ったらいいのか、ということに関して、「近代」美術館の学芸員は大変苦しい立場に立たされているのである!ということを言いたいのですね。

そうこうしているところに、smtができる、というではありませんか。smtの内容は、美術とかだけではなくメディアそのものが対象の・・・、ということを聞いたとき、少なくとも私はちょっとほっとしたのだよ。あ、これからは、ちょっと判断苦しいな、っていう表現は、そっちに回せばいいんだな。

話しが終わんないので、突然、結論を言おう。だから、あとしばらく様子を見ていようと思っているの。わけわかんない表現(もちろん、理由のない表現なんて無い!のだけれどね)を、わけわかんないままに楽しめる空間。僕の中にある5年後のsmtは、そんなところなのだな。今んとこsmtでやってるの、わけわかるのばっかに、僕には、見えるんだもん。