2023
03 02
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仙台市民図書館開館
予告 2023年11月21日更新
【お知らせ】12月24日(日)第89回てつがくカフェ ーシリーズ「結婚の定義」ー
次回てつがくカフェのお知らせです。
今回のテーマは、「恋愛と結婚」です。
「恋愛至上主義」や「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」といった言葉を耳にした方々も、きっといることでしょう。
〈恋愛〉〈結婚〉そして〈性生活〉が三位一体のように結びついている、そんな考えかたです。そして〈性生活〉の帰結や延長線上に〈出生〉や〈子育て〉がたたずんでいます。TVドラマや映画は言うまでもなく、小説をはじめとする文学、そして音楽、漫画やアニメーションなど、「恋に落ちる」ことをモチーフにした作品をあげれば枚挙に暇はないでしょう。そして〈恋愛〉の先に〈結婚〉があることが、まるで詩文が広く愛好されるように人口に膾炙(かいしゃ)し、なんとはなしに共有されている気がするのは、きっと私だけではないでしょう。
〈恋愛〉に心が躍るような胸の高鳴りを感じたことがあるという人も少なくないでしょう。生活に〈張り〉を生むだけではなく、まるで〈希望〉のような思いを抱いた経験をした人もいるかもしれません。一方で〈恋愛〉の先に〈結婚〉という関係性や、それに伴う〈性生活〉や〈出生〉といった帰結が、暗黙のうちに用意されている気もしています。
さらに〈恋愛〉と〈結婚〉の結びつきを読み解く際に欠かせないのが、その両者の関係がその時代時代のなかで変化する恣意的な性格を帯びている、という事実です。これまでの歴史を少し紐解いてみると、たとえば、平安時代には藤原氏が〈結婚〉を通して天皇家と結びつき、権力を掌握したことはよく知られる歴史的事実です。それは、源平騒乱のころの平家も同様です。戦国の世においても「政略結婚」によって権力の均衡を図ろうとする多くの大名たちの姿がありました。
では、私たちが生きる現代社会ではどうでしょうか。最近は〈友情〉の延長線上として友人と結婚する〈友情結婚〉を選ぶ人たちもあらわれはじめたと聞きます。この〈友情結婚〉を選んだ人たちの中には〈結婚〉関係の外で〈恋愛〉することを選ぶ人もいるかもしれません。
時代の変化に伴う結婚観の恣意的側面は、当然ながら〈恋愛〉の先に〈結婚〉があるという前提にも根本的な問い直しを迫るものです。北村透谷が「恋愛は人生の秘鑰(ひやく)なり、恋愛ありて後人世あり」(『厭世詩家と女性』)と述べたのは、近代化の波が日本に押し寄せてきた明治時代のことでした。〈恋愛〉という精神的営みは〈時代〉と無縁ではありません。そして、そのような〈時代〉と、私たちも無縁ではいられません。
(いつからか恋人たちの特別な日であるかのようになった)クリスマスイブに開催される今回のてつがくカフェでは「恋愛と結婚」というテーマをもとに〈恋愛〉〈結婚〉〈性生活〉の関係性、時代の変化にともなう結婚観の恣意性についてなど、私たちの言葉と対話を通して広く〈結婚〉について問い直してみたいと思います。
※本シリーズは、2022年10月から、「メディアスタディーズ」事業として「結婚の定義」を継続的に問い直す活動を行なっている「♀×♀お茶っこ飲み会・仙台」と協働で開催します。
てつがくカフェとは?・・
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、「そもそもそれって何なのか」といった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら「対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
主催:てつがくカフェ@せんだい/せんだいメディアテーク
助成:一般財団法人 地域創造