映像の世紀とうたわれた20世紀を経て、なおいっそうその波にさらされている今日。せんだいメディアテーク開館10周年を機に、これまでさまざまな上映やパフォーマンスをおこなってきたスタジオシアターで、映像による表現と受容のこれからを探るシリーズ「ことばをこえて―映像の力」をお送りいたします。
シリーズ最後となる今回は、長い歴史を持つ空間であると同時に、社会的なシステムでもある映画館/劇場と、多様な変化を見せつつ、いまだ装置(プロジェクターやスクリーン)に縛られた表現でもある映像を通じた体験をとらえなおす、さまざまな試みをおこないます。
※大変申し訳ございませんが、20日(月)のプログラムでのライブ・パフォーマンスは、出演者急病により中止いたします。
日程 | : | 2010年12月18日(土)―23日(木祝) |
会場 | : | せんだいメディアテーク7階スタジオシアター |
実施体制 | 主催:せんだいメディアテーク 協力:文化庁メディア芸術祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭、てつがくカフェ@せんだい、boid、東宝、FesLab |
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入場方法 | : | 1000円(一律料金 前売・当日同額) ※ただし、19日のプログラムは無料。 ※前売券はせんだいメディアテーク1階ナディッフビスで販売。 |
高度な仮想現実と生物工学のSF的なイメージと、東欧の国チェコで撮影されたフィルムの陰影が独特の雰囲気をたたえる、家族の不思議な物語。3つのスクリーンそれぞれでズレを生じながら繰り返されるこの映画には「物語の終わり」が存在しない。SHIMURABROS.は映画の歴史にふれながら新たな装置によってイメージ/映像を実体化するユカとケンタロウによる姉弟ユニット。
制作:SHIMURABROS./2006-2008年
映像は平らなスクリーンに投影されるべきという従来の概念を変える最先端の技術と表現の試み。この作品は、独立行政法人 科学技術振興機構 研究成果最適展開支援事業フィージビリティスタディ可能性発掘タイプ シーズ顕在化 平成22年度採択課題として採択された研究開発技術を用いた公開実験である。
制作:仙台高等専門学校、東北芸術工科大学、wowlab/技術研究開発:日本電気(株)、東北大学大学院情報科学研究科、東北大学未来科学技術共同研究センター、東北大学IIS研究センター、(株)エキサイト、東杜シーテック(株)
ギタリスト、ターンテーブル奏者であり、映画音楽やプロデュースも手がけるミュージシャン・大友良英氏を追ったドキュメンタリー。メディアテークで2007年におこなった『without records』時のインタビューも見ることができる。
映画/監督・制作・編集・インタビュー:岩井主税/2009年/90分(予定)
哲学とは気むずかしいことばかりではなく、私たちが普段当たり前だと思っていることから少し離れてみること。そんな問いかけを共有する「てつがくカフェ」を、ひとつの映画を素材に試みる。50歳をむかえたフェミニストの映像作家が、かつての恋人から家族までさまざまな人とドライブしながらインタビューするこの映画を見て、きっと他人事とは思えない誰かの、あるいは、自分の人生を語り合う。
監督:スーザン・モーグル/2008年/68分
爆音上映とは、東京武蔵野市の吉祥寺バウスシアターからはじまった、音楽ライブ用の音響・大音量で映画を見る/聴く試み。今まで見てきた映画の迫力が変わることはもちろん、フィルムのサウンドトラックについた傷までもふくめ、映画を新たに体験できる。上映作品は、サイバーパンク・アニメーションの金字塔『AKIRA』。
監督:大友克洋/1988年/124分
映画、テレビ、ネット、アニメ、CG……映像文化はもう飽和状態?――『バカドリル』などのマンガ家であると同時に、CG(コンピュータ・グラフィックス)初期から独自の表現を追求し続ける映像作家でもあるタナカカツキ氏と、雑誌や広告・音楽などの幅広い分野で活躍しつつ、ポートレート・シリーズ「休日の写真館」も手掛ける写真家・池田晶紀氏の、従来の枠組みにとらわれない活躍をする二人が、現在の映像/ヴィジュアル表現の先を目指して徹底放談する。
(出演)タナカカツキ(映像作家/マンガ家)、池田晶紀(写真家)
OCCURは、2008年から始まった、映像、音楽、メディアアートなどのジャンルにとらわれず、仙台を舞台にクリエイティビティを可視化・刺激する企画。「マッサージ」というキーワードでつながるもうひとつのイベントもお楽しみください。
website: http://www.feslab.net/