かく文字-鉛筆の歴史と政宗鉛筆 |
鉛筆の芯には黒鉛が使われますが、その黒鉛がイギリスで発見されたのは1564(永禄7)年で、伊達政宗が生まれる3年前のことでした。そして、イギリスでの黒鉛発見からわずか約半世紀後には政宗が鉛筆を手にしていたようです。
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かく文字-自分自身であることをあらわす文字−花押 |
様々な文書で、自分自身が書いたことをあらわすためには印鑑やサインが使われますが、手で書いた文字がその人自身をあらわす文様にまでなったものに花押(かおう)があります。
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かかれる文字-仙台ゆかりの柳生和紙 |
日本各地にはその土地の文化や伝統を受け継く和紙がありますが、柳生(やなぎう)和紙は仙台の地で400年の歴史を持っています。
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かかれる文字-紙以前の時代の材料−パピルス |
紙は中国で紀元前176-141年ごろから使われていたといわれていますが、紙が発明される以前は、粘土板、パピルス、羊皮紙などがかかれる材料として用いられました。
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かかれる文字-メディアに対応していく紙 |
かかれる材料としても大きな役割を持つ紙は、文字を紙に写し取るメディアの変遷に対応して、より便利に、よりきれいに記録できるよう発展してきました。
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うつ文字-電気とボールのタイプライター |
タイプライターは1829(文政12)年にアメリカで原型が生まれました。キーに活字が連動する形式が一般的ですが、1961(昭和36)年に発明された
このタイプライターは、電動式で、文字を打ち込む部分がボールになっているというユニークなものです。
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うつ文字-キーボードと世界の文字 |
タイプライターによって生まれたキーボードという入力装置は、現在わたしたちの身近にあるコンピューターのキーボードの原型となっています。しかし、欧米世界で生まれたタイプライターで、アルファベット以外の文字を記すには様々な工夫が必要でした。
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うつ、さわる文字-点字をうつ |
点字は1825(文政8)年に、自身も目が不自由だったフランス人ルイ・ブライユが発明しました。日本ではそれを五十音点字に対応した日本語点字を1890(明治23)年に石川倉次が完成させました。
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うつ、さわる文字-点字とそれを表現する機械 |
点字の表現方法自体は、穴があかない程度の厚みを持った紙に裏から針のようなもので点をうちこんでいくというシンプルなものです。しかし、ひとつの文字が6つの点で構成される点字で、長い文章を手でうっていくことはたいへんな労力を必要とします。それに対する工夫のひとつに、点字タイプライターがあります。
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うつ、さわる文字-点字をうつ |
点字を扱う技術も、ほかの文字のようにタイプライターを経てコンピューターと出合いました。
このソフトウェアは点字編集システムと呼ばれており、点字とカナ、アルファベットを相互に変換することができます。
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うつ、さわる文字-点字以外のさわる文字 |
さわる文字が「点字」にいたるまでには様々な工夫があり、その道筋にはふたつの方向がありました。文字を線で表現するものと、文字を点で表現するものです。
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ほる文字-鉛の活字のための木の活字 |
活字は鉛の合金でできていますが、活字のもとの型(種字)をつくる方法のひとつに、木材を実際の活字の大きさにほる方法があります。これは、1872(明治5)年に開設した東京築地活版製造所で14歳から種字彫刻師をしていた安藤末松の手による種字です。
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ほる文字-大きな活字と木材 |
活字の大きさと生産数は、その使われる頻度と関係します。たとえば小さな本文向けの活字は数も種類も多く、見出しなどで使われる大きめの活字は使う回数も種類も少なくなっています。
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いこむ文字-明治日本の近代活版のはじまり |
日本で本格的に活字の製造から印刷までを行えるようになったのは、明治維新後、長崎で崎陽新塾(後に新街私塾、新街活版所と改名)を開いた本木永久の功績によります。本木は長崎でオランダ通詞(通訳)をしていた間に活版印刷に興味を持ち、1848(嘉永1)年にオランダ船から鉛合金活字と印刷機を購入し、活字の研究を進めていきました。
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くむ文字-活字を「くむ」場所−植字台 |
活版印刷の手順には、必要な活字を拾ったのち、原稿をもとにそれらの文字をくみあげて版をつくる「組版」の作業があります。この作業は植字台で行います。
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くむ文字-活字ケースとフォント |
ケース入りの欧文活字をみると、活字の時代から様々なの書体が存在したことがわかります。「フォント」という言葉の由来も、もとをたどるとひとつの書体活字ケースの中でどの文字がいくつ入っているかを示す「フォント表」から来ています。
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くむ文字-活版印刷時代の印刷所の風景 |
この風景は、1976(昭和51)年当時の宮城県内の印刷所の一風景です。拾った活字と原稿をもとに、版を組んでいます。それぞれの植字台は担当する職人によって、道具や活字、クワタの置き場所がそれぞれに使いやすいように配置されていました。
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くむ文字-活版印刷を通じた、中国と日本の関係 |
これは中国上海の印刷所「美華書館」の活版印刷を行うための部屋です。漢字の種類が多い中国語の活字を効率的に拾えるように、活字ケースのかたち、並びともに日本のものとは異なっています。
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くむ文字-smt活版ワークショップでの使用ソフト |
このソフトウェアは、長岡造形大学小泉助教授がインターネット上で行ってきた、タイポグラフィ(書体)を学ぶメソッド=「ハイパータイポ」で使われたものの発展形で、活版印刷とコンピューターの、古くて新しい「わざ」のつながりを再認識できるものです。
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おす文字-活版印刷による書物の特徴 |
活版印刷は、活字の凸部分にインクが塗られ、紙に押しつけられて印刷される技術で、凸版印刷の技術に分類されます。物理的に圧力をかけて版を押しつけて印刷するため、文字がエンボスのように紙を凹ませ、全体的に力強いシャープな表現になります。
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おす文字-ホビー用の活版印刷機 |
イギリスのアダナ社製造の手動式の活版印刷機です。版面の大きさにより3種類があり、これは一番大きな8x5インチのものです。オプションとして枚数カウンターがついています。現在はイギリスでもほとんど生産されていません。
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おす文字-手動式活版印刷機 |
この手動印刷機は日本製で、名刺やはがきなど少量で小さなサイズのものを印刷するためのものです。足踏み式の「フート印刷機」を改良した「手動フート印刷機」(手フートととも呼ぶ)は1990年代まで用いられてきました。
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おす文字-活字と箔押しの関係 |
箔押しはホット・スタンプともいわれ、金箔、銀箔、色箔のほかにも空押し(エンボシング)などもあります。古典的な方法は、押す部分に卵白液などを下塗りし、金箔などを置いて加熱した金版(かなはん)で押して箔をつくるものもあります。
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ならぶ文字-大漢和辞典と諸橋轍次 |
文字を調べるときには辞典が用いますが、その編さんは人間の半生を費やすものであり、とくに文字種の多い漢字文化圏の辞典編さんにはたいへんな労力が必要です。
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デザインする文字-コンピューターフォントができるまで |
現在わたしたちはコンピューターを用いることで、様々なフォントを様々な大きさでつかうことができます。それはコンピューター上の文字が、点と点を結ぶ線の集合で構成されている「アウトライン・フォント」でできているからです。
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デザインする文字-手書きによる書体設計 |
コンピューターで書体を自由に操れるようになっても、もとのデザインである「原字」は今も変わらず手で描かれる場合があります。原字は、原字用紙とよばれる2インチや5インチの升目が入った専用の用紙に、文字自体のバランス、そして組み合わせたときのバランスを確かめながら、地道に描いていきます。
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デザインする文字-トラヤヌス帝碑文とそこから発展した書体 |
この碑文は、ローマの五賢帝のひとりトラヤヌス(53-117年)がダキア人との戦いの戦勝記念モニュメントとして、113年に建立した記念柱に刻まれているものです。
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デザインする文字-アドリアン・フルティガーと書体「ユニバース」 |
書体には、それがつくられた背景や、作者のねらいがこめられています。そしてそれは書体の成果品だけでなく、制作途中の部分でもあらわれてきます。
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デザインする文字-フォントの「ふさわしさ」とは |
コンピューターの登場によって、手軽に様々な書体を選択することが可能になりました。しかし、書体はそれらが生まれた時代や文化背景を色濃く反映しており、自由に書体が選べる時代だからこそ、各々の書体がもつ「ふさわしさ」をよく理解した上で選択することが重要です。
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デザインする文字-smtのロゴタイプができるまで |
世の中にはたくさんのロゴマーク、ロゴタイプがありますが、それはただのマークではなく、そのロゴを持つ団体や機関のポリシーやメッセージを抱いています。
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よまれる文字-機械が読む文字 |
文字は人間がつくりだし、読み書きするものですが、機械が読みとることができる文字があります。バーコードは記号ですが、そのひとつです。
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よまれる文字-画面の文字を音で聞くメディア |
文字は紙の上やコンピューターの画面など、様々なところにあらわれますが、基本的にそれは見て読みとれることが前提です。しかし、コンピューターの画面に映し出された文字に関しては近年のハードウェア、ソフトウェアの技術の進歩により音声読み上げが可能となりました。
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くみあわせる文字-分合活字とその実用性 |
漢字は共通する部首をもちますが、部首ごとに活字をつくり、組むことで、膨大な数の漢字をできるだけ少ない種類の活字で印刷するために、工夫されたのが、分合活字です。
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くみあわせる文字-部首のくみあわせから生まれる遊び |
おもちゃ大賞を受賞した
このゲームは、120の「へん」と「つくり」を組み合わせて、たくさんの漢字をつくりだしていくものです。
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ならう文字-文字を習うためのメディア−教科書 |
文字を習うためのメディアとして、教科書があります。文字自体の書き方を習う「書写」や、その文字を用いて言葉とし、言葉や文章の使いかたや読み取りかたを学ぶ「国語」など、学校の教科にあわせた教科書で学びます。
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かな文字-多様な日本語の文字 |
日本語では漢字のほかにひらがなやカタカナなどの文字が使われています。中国から伝わってきた漢字を使い日本語を書きあらわすために、漢字の音訓の読みで書き写す「万葉仮名」を発明しました。そして平安時代に、漢字を崩していくなかで作られたひらがな(平仮名)と、漢字の一部分・一片を取り上げて作ったカタカナ(片仮名)が生まれ、現在まで引き継がれています。
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うごく文字- ピーター・チョー ステートメント |
" letterscapes"は、動的な多次元環境に取り囲まれた、26のインタラクティブなタイポグラフィの風景を集めたものです。アルファベットの一文字を出発点として、遊び心たっぷりに「マウス主導」で作り上げました。このプロジェクトは「どのようにして文字で遊ぶか(文字を演奏するか)?」ということを問いかけたものです。どの風景の場合も、バーチャルな二次元、または三次元空間の中に文字のフォルムを「再想像」し、ユーザーはゲームをするように、または楽器を奏でるように、文字で「遊ぶ」(文字を「演奏する」)ことができるのです。"letterscapes"は、MITメディアラボ在籍中に完成させたインタラクティブなタイポグラフィ形態に関する研究と、クライアントを相手にした過去数年間の仕事とを組み合わせたものです。 |
うごく文字- 永嶋敏之 ステートメント |
現在の文字形態は静的で平らなメディアを中心として形成されていますが、これからのコンピュータを中心としたデジタルメディアにおける文字形態はそのような伝統的文字表現を基礎とした上で、動きや時間などを考慮した新しい形態を模索すべきであると考えます。
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うごく文字- 山辺真幸 ステートメント |
話す言葉を文字に置き換える文化がなかった日本では、他国の文字である漢字を一字一音式に対応させて表記することが試みられた。1200年以上昔のことである。「仮名(かりな)」という、漢字を借用するシステムの中で、元の漢字を意図的に崩す書き方がひらがなの元になった。漢字を大胆に「崩す」ことは単に省略することではなく、借用した漢字から、日本独自の文字を生み出す大きな流れであり、多くの漢字が「崩し」によって新たな形を獲得していった。
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うごく文字-長岡造形大学真壁研究室 ステートメント |
この作品はタイプライター同士を紙で繋いだものになっています。この紙上で二人 の間の言葉のやり取りが文字となって行き交います。
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おわりに-おわりのあいさつ |
これで「文字展@smt」はいったん終了です。3回印刷して完成した記念カードのできばえはいかがでしょうか。このカードの中に、この展示のメッセージがいくつもこめられています。
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